ふとんについて
1. 基本性能
1.1 快適睡眠を得るための構成要素
快適な睡眠を得るためには睡眠生理、睡眠環境が重要な要素であるが、寝るときに使う寝具・寝装品も大きな影響を与える。従って、就寝時に一番身近にあるものは、パジャマと寝具であり、季節や寝室の環境(温度、湿度)の変化に応じて適切なものを選ぶ必要がある。また、敷きふとんと枕は、使用者の体重や体型に合ったものを選ぶ必要がある。
1.2 寝床内環境
私たちがふとんに寝たときに、掛けふとんと敷きふとんで囲まれた小さな空間がある。この空間の環境を寝床内環境といい、快適睡眠を実現させるためには、快適な温度、湿度に保つ必要がある。寝床内の気温は、当初室温と同じであるが、人がふとんに入ると身体から発する温熱によって急上昇を始める。やがてふとんが暖められて、人体の皮膚表面から発散される熱量とふとんから放出される熱量の間にバランスが保たれ、寝床内温度もほぼ一定となり、33℃±1℃の時が快適となる。相対湿度は、人がふとんに入った直後から放出される汗によりいったん急激な初期上昇をするが、すぐ温度の上昇に従って低下し、温度曲線とは逆相位になる。やがて、温度が平衡に達する時点で、湿度もほぼ平衡状態となり、50%±5%(RH)の時が最も快適な環境となる。
1.3 ふとんに求められる性能
寝具に求められる性能は、睡眠中の生理現象と密接な関係を持っている。
①保温性
夜になると身体の産熱量が減少し体温が下がり始める。体温は明け方まで下がり続け、午前5時ごろに最低レベルに達する。パジャマを着ただけで、毛布やふとんを掛けずに寝てしまったら風邪をひいてしまう。睡眠時の体温の変化や寝室の冷気から体温を保持するために、寝具には保温性が先ず必要である。
②吸湿・透湿・放湿性
人の身体からは、常に汗が出ているが、この汗には不感蒸泄(気相の水分:水蒸気)と発汗(液相の水)の2種類がある。睡眠中は体温調整などいくつかの理由でこの汗が重要な役割を果たしている。したがって、身体と接する寝具には十分な吸湿性が求められ、また、湿度が高くなることによる「蒸れ」を防ぐために吸湿・透湿・放湿性能が必要である。
③軽さ
掛けふとんには、軽さが必要である。一般的に、人は一晩のうちに約20回の寝返りを繰り返す。これは、身体の重みで押さえられている部分を重みから開放して血液の循環を良くしたり、暖まりすぎたところに空気を送って冷やしたり、蒸れを感じたときに湿気を逃すためなど必然的なものである。重い寝具は、人体に負担をかけ、寝返りのたびに快眠を妨げることになる。特に高齢者の方には、重い寝具は心臓への負担も大きくなるので注意が必要である。
④ドレープ性(フィット性)
掛けふとんには寝床内の暖かさを逃さないためにも身体に添いやすい柔らかさ(ドレープ性)が要求される。ドレープ性に優れていると、寝返りを打つ時にもなめらかなフィット感がある。
⑤快適支持性能
敷きふとんの大切な機能として、立っているときと同じ自然な寝姿勢が保てること。身体に局部的な集中荷重がかからないよう(床つき感がなく)体圧分散性に優れていること。快適睡眠を妨げないように寝返りが打ちやすいこと(適度な反発が必要)。などが要求される。
表1-1 ふとんに求められる基本性能 | ||
---|---|---|
<掛けふとん> |
<敷きふとん> |
2. ふとんの用途別名称
一般に各種の素材のふとんわた(詰めもの)を袋状に縫製された布地でくるみ、座ったりまたは寝る時に敷いたり掛けたりするものを「ふとん」という。しかし、詰めものの多様化や機能・用途の細分化、さらに製造方法の進歩で、一口にふとんといっても、昔と比べ現在のふとんの種類は増え、種々の特徴を持っている。
ここでは、まず一般的な分類として、掛けふとん、肌掛けふとんと夏掛けふとん、敷きふとんの概略について述べる。
2.1 掛けふとん
掛けふとんは身体の上に掛けるものであるから、保温性がよくて、吸湿・透湿・発散性に優れ、,身体に負担をかけないよう、また、寝返りが打ちやすいようにあまり重くなく、肌触りがよいことなどが要求される。
掛けふとんには、掛けふとんのほかに肌掛けふとん、夏掛けふとんなどの種類があり、和掛けと洋掛けに分類できる。これらの掛けふとんは就寝中の汗を吸収し、また発散させる機能がなければならない。そのために、ふとんの詰めものに適した素材が要求され、現在では羽毛、羊毛、綿、合繊、絹(真綿)などが使用されており、これらのミックスや組み合わせも行われている。
1)掛けふとんと合い掛けふとん
掛けふとんには、和掛けふとんと洋掛けふとんがあり、現在では洋掛けふとんが圧倒的
に多い。和掛けは仕立てが手づくりによるものが多く、その仕立て方も鏡仕立てや額仕立てといった昔から受け継がれてきたものがある。鏡仕立ても額仕立ても、ふとんの表面部分を別生地で鏡のようにフキをとったものである。フキをとらずに、ふとんの両側で生地を合せたものを「毛抜き仕立て」という。
洋ふとんは合繊わたが登場した昭和33年ごろからできたもので、和掛けふとんのよう
にふとんを綴じるのではなく、キルティングミシンで縫製を行う。
掛けふとんの詰めものの素材は、前述のように多くの種類が使われており、ふとんの生
地も綿サテンを中心に多くの種類がある。合掛けふとんは、一般掛けふとんより詰めもの量がやや少く、季節の寒さに応じて一般掛けふとんと使い分ける。
2.2 肌掛けふとんと夏掛けふとん
肌掛けふとんは、掛けふとんより詰めものの量が少なく軽く作ってあるため、春から初夏の気候のよい季節には単体で使い、夏にも夏掛けふとんの代用として、あるいは、真冬は掛けふとんと重ねて使用するなど用途が広い。一般的には、詰めものとして合繊わた(ポリエステル)、羽毛、羽根、羊毛が多い。側生地については、それぞれの詰めもの素材の特性を生かしたものが使われるが、より吸湿性や肌触りのよいタオルやガーゼを使ったものもある。
1)肌掛けふとんの種類
肌掛けふとんのサイズは、ほぼ掛けふとんと同様であるので、種類の分類は詰めものの違いによる。
①合繊肌掛けふとん
詰めものには合繊(ポリエステル)わたが使われており、その量は約0.8kg~1.2kgである。側生地は綿素材がほとんどで、サテン、タオル地、ガーゼなどがある。また、夏向きの商品として吸湿性のよい麻素材を使ったものもある。
②羊毛肌掛ふとん
詰めものに吸湿・発散性に優れた羊毛わたが使われており、羊毛100%のものとポリエステルを50%程度ミックスしたものなどがある。
③羽毛肌掛けふとん
詰めものに羽毛が使われており、その量は約0.2kg~0.8kgである。側生地には綿100
%のものやウォッシャブルタイプはポリエステル綿混、ポリエステル100%が多くなっている。吸湿・発散性に優れているため暑い夏も快適に使用することができる。夏向けには羽根を入れたものが多い。ダウンが50%以上入っているものを「ダウンケット」(羽毛肌掛けふとん)、フェザーが50%以上のものを「フェザーケット」(羽根肌掛けふとん)として区別している。
2)夏掛けふとん
夏の暑い時期に使われるふとんである。詰めものの量を少なくして、側生地もさわやかなサラッとしたものが使われる。夏掛けふとんの側生地には麻のちぢみ、綿の麻ライクなもの、あるいはクレープ、サッカーなど薄くてサラッとした生地を使う。仕立ては和式のものと洋式のものとがあり、涼感のあるデザインが特徴である。
2.3 敷きふとん
保温性や吸湿・透湿・放湿性が要求されることはもちろんだが、長時間体重を支えるため、弾力性や耐久性が大きなポイントになる。同時に、健康維持という観点から、快適支持性能(正しい寝姿勢が保て寝返りが打ちやすい適度な硬さ)も必要である。
敷きふとんに使用されている主な素材は綿、合繊、羊毛等があり、これらのミックスや組み合わせも行われている。
1)敷きふとんの種類と素材
敷きふとんの種類は、従来からの綿、合繊、羊毛これらをミックスの一層敷きふとんや二層、三層敷きふとんなどがある。また、構造では合繊固を使用した敷きふとんや素材の違ったものを多くの層に組み合わせた多層構造などがある。また、わたではないがウレタンフォームを成形して作った敷きふとんも種々開発されている。
①一層敷きふとん
敷きふとんに代表されるもので、ふとんわたを側生地の中へ入れて縫製する。和式仕立て(綴じ)とキルティング加工がある。
②固わた入り敷きふとん
固わた入り敷きふとんは、中芯の材料として成形された固わたをふとんわたで包み、その詰めものを、側生地に入れて縫製する。固わたには、樹脂あるいはバインダー繊維で固めたポリエステル固わたと、ウール固わたがある。固わた入り敷きふとんは適度な固さと弾力性がある。
③多層構造敷きふとん
固わたやニードルパンチわたを利用して、さらに敷きふとんの機能を向上させるために素材を何層かに重ねて一つの製品とするものである。例えば、敷きふとんはまず吸湿性が大きなポイントであるので、吸湿性に優れた羊毛や綿を一番上の層にして、つぎに吸収した湿気を下へ透過させるポリエステル繊維、さらに敷きふとん全体に弾力性をもたせるウレタンフォームなどを重ねて行く。また、羽毛や羽根は非常にやわらかいので、身体が沈み込んで寝心地の悪いものになるため、それだけでは敷きふとんにすることができない。そこで、表面に羽毛を入れ、下部にはポリエステルや羊毛などを入れて羽毛や羽根の特性を活かす種類もある。
3. ふとんの用途別性能
3.1 掛けふとん
寝る時に身体の上に掛けるふとんが、掛けふとんである。掛けふとんの縦サイズは、身長+35cm程度、横サイズは150cm~160cmが標準サイズである。一般的な掛けふとんのサイズは、150cm×210cm(シングルロング)である。
また、掛けふとんには、主に秋冬に使用される掛けふとんと春や秋に使用される合掛けふとん、春から夏に使用される肌掛けふとん、夏に使用される夏掛けふとんなどがある。季節や気温に合わせて、使い分けをすることが必要である。詰めもの(素材)別にみた賭けふとんの特徴及び取扱上の注意は、以下の通りである。
表1-2 詰めもの(素材)別にみた掛けふとんの特徴 | ||
---|---|---|
詰めもの(素材)別 | 特徴 | 取扱上の注意 |
綿(コットン) | 繊維に撚りがかかっており弾力性、保温性が良い。また、吸湿性も優れている。打ち直しも可能である。 | 放湿性がやや劣るので、こまめに日干しをして乾燥させる必要がある。乾燥させないと重くなり、へたりも早くなる。 |
合繊(ポリエステル) | 軽く、弾力性があり、保温性が良い。また、ホコリが出ず、衛生的である。ホコリに敏感な人に向いており、取り扱いも楽である。 | |
羊毛(ウール) | 保温性が良く、吸放湿性にも優れている。また、弾力性が良く、難燃性でもある。蒸れ感が少なく、さわやかである。 | 弾力性はあるが、へたると回復しにくい。保管時に虫喰いに注意が必要である。 |
羽毛 (ダウン&フェザー) |
軽く、かさ高性があり保温性に優れている。また、吸放湿性にも優れている。蒸れ感が少なく、さわやかである。 | 嵩が高いので、収納にやや嵩張る。保管時に虫喰いに注意が必要である。 |
真綿(シルク) | 繊維が細く、軽く、柔らかく保温性に優れている。肌沿いも良い。 | 保管時に虫喰いに注意する必要がある。 |
3.2 敷きふとん
畳や床、ベッドの上に敷くふとんが敷きふとんである。敷きふとんの縦サイズは、身長+35cm程度、横サイズは100cmが標準サイズである。一般的な敷きふとんのサイズは、100cm×210cm(シングルロング)である。
敷きふとんには、さまざまな種類のものがあるが、近年では1枚の敷きふとんでも床つき感がなく寝られるように、中芯にポリエステル固わた、ウール固わた又はウレタンフォームなどを入れた二層・三層構造の敷きふとんがある。中芯を使用することで身体があまり沈み込まず、寝姿勢を保つことが可能である。詰めもの(素材)別にみた敷きふとんの特徴及び取扱上の注意は、以下の通りである。
表1-3 詰めもの(素材)別にみた敷きふとんの特徴 | ||
---|---|---|
詰めもの(素材)別 | 特徴 | 取扱上の注意 |
綿(コットン) | 保温性が良く、吸湿性に優れている。弾力性があり、安定感があるので、床つき感もない。 | 放湿性がやや劣るので、こまめに日干しをして乾燥させる必要がある。乾燥させないと重くなり、へたりも早くなる。 |
合繊(ポリエステル) | 軽く、弾力性があり、保温性が良い。また、ホコリが出ず、衛生的である。ホコリに敏感な人に向いており、取り扱いも楽である。 | 吸湿性に劣るので、冬季の結露に注意が必要である。 |
羊毛(ウール) | 保温性、吸放湿性、弾力性に優れている。薄いので、収納性が良い。 | 弾力性はあるが、へたると回復しにくい。保管時に虫喰いに注意が必要である。 |
羽毛 (ダウン&フェザー) |
保温性、吸放湿性に優れている。また、蒸れ感が少ない。 | 保管時に虫喰いに注意が必要である。 |
3.3 座ぶとん
床や畳の上に敷いて、座る時に用いる小さなふとんが座ぶとんである。形は、基本的に四角であるが正方形ではない。サイズによって名称が異なり、茶席判(ちゃせきばん、43cm×47cm)、木綿判(もめんばん、51cm×55cm)、銘仙判(めいせんばん、55cm×59cm)、八端判(はったんばん、59cm×63cm)、緞子判(どんすばん、63cm×68cm)、夫婦判(めおとばん、67cm×72cm)といったものがあり、一般的に使用されているのは銘仙判である。
クッションとは目的が異なるので、ふかふかと柔らかすぎるものよりも、ある程度硬めのしっかりした感触の座ぶとんの方が座りやすい。
3.4 こたつふとん
こたつふとんの詰めものは、ポリエステルを使用した厚手のものが主流であるが、収納性を考えた薄手のこたつふとんが開発されている。さらに、保温性を高めるために羊毛や綿などを詰めものに使用したもの、周囲に広がらない省スペースのこたつふとんも多くなっている。
サイズは、コタツに合わせた正方形や長方形(暖卓)など多様化している。
4. ふとんの手入れ方法
4.1 使い方と注意
・ふとんの本体には生地の傷みや汚れを防ぐため、カバーやシーツを掛けて使用すること。
・人間は就寝中コップ一杯分の汗をかくと言われ、ふとんに湿気がこもるので、ふとんは日に干すか、ふとん乾燥機などでよく乾燥させること。
・畳や床にふとんを敷いている場合は、基本的にふとんの上げ下ろしは毎日行う。ふとんの上げ下ろしをすることで、カビやダニの発生を防止できる。
4.2 干し方
・ふとん干しに適した日=天気のよい乾燥した日
・干す時間帯=午前10時~午後3時頃(湿度の低い時間帯)
・全面が日に当たるように両面を干す。
・ふとん生地の傷みを防ぐため、カバーやシーツで覆って干す。
・ふとん叩き等で強くたたかないこと。強くたたくとふとん生地や詰めものを傷める恐れがある。
・ふとんの表面のホコリを軽く取り除くように軽くはたく程度にする。ホコリが気になる場合は、ふとんの表面にふとん専用ノズルを使い掃除機をかけて取り除く。
4.3 洗い方
・部分的にふとん生地が汚れたら、すぐにつまみ洗いし、十分乾燥すること。
・クリーニングする場合には、専門業者か、寝具専門店に依頼し、家庭での水洗いは、『ウォッシャブル』などの表示がある薄いふとん以外は避けること。
・一般家庭での洗濯が可能なふとん(ウォッシャブル)の洗い方
①洗濯機を使用する場合は、洗濯機の取扱説明書に従うこと。
②乾燥は風通しのよい日陰に干し、軽く叩いて詰めものの片寄りを直し、形を整えて、2本の竿に広げて、吊り干しで十分に乾燥すること。
③洗濯水の温度及び洗剤は次のものを使用すること。
・羊毛(ウール)ふとん、羽毛(羽根)ふとん⇒洗濯水は30℃以下、洗剤は中性洗剤を使用。
・合繊(ポリエステル)ふとん⇒洗濯水は40℃以下、洗剤は合成洗剤(側地が生成・淡色の場合は蛍光剤の入っていない洗剤を使用のこと。)を使用。
4.4 収納と保管
・湿気の少ない場所に、敷きふとんは下に、掛けふとんは上に収納すること。
・しばらく使わないときは、一度日に干してから、カバーやシーツをはずし、湿気の少ない場所に保管すること。
・ダニやカビを防ぐため、使わない間でも、ふとんはときどき日に干し、押入れも乾燥させること。
・ふとん圧縮袋に長期間保管すると、ふとんのかさ高がなくなる。
4.5 リフォーム・打ち直し
(1) 綿ふとんの打ち直し
・打ち直しは、ふとんを日に干しても嵩の回復が悪くなったり、 ふとん生地の汚れがひどいときに行う。
・打ち直しは、掛けふとんは5年位、敷きふとんは3年位が目安 。
・打ち直しは固くなったわたをときほぐすもので、傷んだ繊維を直すものではない。
・固くなったわたをほぐすときに、機械でわたの繊維が切れ短くなったりするので、打ち直しは2回位が限度。
(2) 羽毛(羽根)ふとんのリフォーム
羽毛(羽根)ふとんは、使用状況により生地が傷んだり、詰めものの羽毛が劣化してくるので、状況により、クリーニング、リフォーム、買換えを行うとよい。
・クリーニング:ふとんの衣替えの季節や、汚れが気になってきたら。
・リフォーム:ボリュームがなくなってきたり、片寄りが気になってきたら。
・買 換 え:へたりやふとん生地の傷みがひどかったり、カビやペット臭などの落ちない汚れがついたら。
使用の環境や状況により劣化の度合いは異なるので、あくまで目安であるが、使用年数による羽毛ふとんの状態とお勧めの対応策をまとめると次のようである。
表1-4 使用年数による羽毛ふとんの状態
使用年数 | 羽毛ふとんの状態 | お勧めの対応 |
---|---|---|
2~3年 | 羽毛のかさ高(ボリューム)の低下 | クリーニング |
ふとん生地の汚れ | ||
4~5年 | 羽毛のかさ高(ボリューム)の低下 | リフォーム |
ふとん生地の汚れ・傷み | (ふとん生地の交換と羽毛の補充) | |
6~7年 | [購入後に既にリフォームされた方] | クリーニング |
羽毛のかさ高(ボリューム)の低下 | ||
ふとん生地の汚れ | ||
[リフォーム・クリーニングをされた事がない方] | リフォーム (ふとん生地の交換と羽毛の補充) |
|
羽毛のかさ高(ボリューム)の低下 | ||
ふとん生地の汚れ、傷み | ||
羽毛の吹き出し、片寄り | ||
10年 |
羽毛のかさ高(ボリューム)の低下 | 買換え |
ふとん生地の汚れ、傷み | ||
羽毛の吹き出し、片寄り |
5. 寝具の選び方
5.1 寝具の組み合わせ
○夏………熱がこもらず、吸湿・放湿性、透湿性が良いふとん。
○冬………保温力の高いふとん。
○シーツやカバー類、パジャマ類など肌に直接触れるものは、その触感も安眠に影響する。
室温別の寝具の適した組み合せ例を下記に示す。
表1-5 室温別の寝具の組み合せ(例)
部屋の温度 | 寝具の組み合せ |
---|---|
5℃~10℃ | 毛布、肌掛けふとん、掛けふとん |
10℃~15℃ | 毛布、掛けふとん |
15℃~20℃ | 綿毛布、肌掛けふとん又は、合掛けふとん |
20℃~25℃ | 肌掛けふとん |
25℃以上 | 綿毛布かタオルケット又は、夏掛けふとん |
5.2 条件で選ぶ
(1) ふとんのサイズ
表1-6 用途別のふとんのサイズ(下記サイズは一般的なもの)
サイズ名称 | 略号 | 掛けふとん(横×縦)cm | 敷きふとん(横×縦)cm |
---|---|---|---|
シングル | S | 150×200 | 100×200 |
シングルロング | SL | 150×210 | 100×210 |
セミダブル | SD | 170×200 | 120×200 |
セミダブルロング | SDL | 170×210 | 120×210 |
ダブル | D | 190×200 | 140×200 |
ダブルロング | DL | 190×210 | 140×210 |
クイーン | 210×210 | 160×210 | |
キング | 230×210 | 180×210 | |
ジュニア | 135×190 | 90×185 | |
ベビー | 95×120 | 70×120 |
※ベッド用の敷きふとんはサイズが異なる場合があるので注意。
(2) ふとんの硬さ・重さで選ぶ
掛けふとんに重みが無いと、眠れないという方が結構いる。しかし、あまり重量が重
いと身体を圧迫して健康のために良くなかったり、寝返りが打ちにくくなり、睡眠を妨
げることもある。
また、敷きふとんは硬すぎても柔らか過ぎても良くない。硬さには好みがあるが、身
体があまり沈み込み過ぎず、また硬過ぎない適度なクッション性のあるものが好ましい。
(3) 赤ちゃんに適したふとん
赤ちゃんは生後2ヶ月くらいは、お乳を飲むとき以外はほとんど眠っており、睡眠時
間は1歳位までは13~15時間である。睡眠時間だけを見ても寝具は大切なものである。赤ちゃんの特徴は、①成長が著しい、②新陳代謝が盛ん、③肌が敏感でかぶれやすい、④骨が柔らかい、⑤温度や湿度の変化に適応しにくい、などが挙げられる。
したがって、敷きふとんには赤ちゃんの体があまり沈み込まない硬めのわたを使った
マット状のものや、表面を凹凸にし通気性や放湿性を高めたものなどがある。また、掛けふとんには軽くて保温性に優れたポリエステルや羽毛、羊毛、真綿を使ったものがある。
6. 枕に求められる性能
人がバランスよく二足歩行するためには、発達して重くなった脳を上手く支えなければならない。直立時の人の脊柱は、側面から見るとS字状にカーブしている。体重を前後に分散して、活動に適合するために進化した形状である。直立時のS字状のカーブが、重い頭や体重を支えるのに最も無理のない、楽な姿勢を作り、筋肉の疲労も少なく、脊柱などにかかる負担もいちばん軽い状態である。枕には、寝ている間もこの自然な姿勢を保つという重要な役割がある。
S字の基点となる頸部を無理なく支えながら、寝ている間も立っているときと同じ自然な姿勢が保てるように、敷きふとんと頭部・頸部の間にできた隙間を埋めることができる高さと形状が求められる。
自然な寝姿勢の保持には、自分に合った枕だけではなく自分の体型に合った敷きふとんを選ぶことも大切である。
<枕を選ぶ時のポイント>
①高さ
②硬さ
③素材
④形状
<主な枕の詰めもの>
表1-7 硬さと詰めものの種類 | |
---|---|
硬さ | 詰めものの素材 |
柔らかめ | ダウン・スモールフェザー・低反発ウレタンフォーム・パンヤ・真綿・羊毛わた・ポリエステルわた など |
普通 | ウレタンフォーム・ポリエチレン(パイプ、球形、空豆状)など |
硬め | そばがら・備長炭・檜・石・セラミックス・小豆 など |
6.1 体型に合った敷きふとんと枕の組み合わせ
私たちが敷きふとんに寝たとき、敷きふとんには全体重がかかり、一般にその体重は図に示す割合でかかる。このように敷きふとんにかかる荷重は部位によって大きく異なるので、敷きふとんには体があまり沈み込まない硬さと、寝返りも打ちやすい適度な弾力性が必要となる。敷きふとんを選ぶには、身長、体重のほかに寝たときに体重のかかる割合、体型の凸凹などに応じた硬さ、弾力性、構造が必要である。
前述のように、寝ている間も立っているときと同じ自然な姿勢が保てるようにするには、枕で頭部・頸部の隙間を埋めると共に、体と敷きふとんの間にできた隙間を埋め、体の沈み込みを支えることが必要である。これにより、よりよい眠りをサポートをすることができる。
出典:財団法人日本ふとん協会発行「睡眠環境と寝具」(寝具編)